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ヒカル君

 投稿者:みかりん  投稿日:2011年 9月 3日(土)12時28分39秒
  通報 編集済
  ある日。
トヨタ自動車の営業所から、yasを介して「使っていない中2階スペースをなんとか使えないか。たとえばそこで絵画教室をするとか」という話が来た。

私の地元からは離れているし、絵画教室は無理。
絵描きの知り合いにギャラリーとして使ってもらうにしても、札幌の街中からは離れていて無理。
せいぜい、地元のサークルの発表の場として提供するのが精一杯じゃない?っていう、まぁ、冷静に考えてそういう感じのお話でした。

でもねー。
なんかないかなと考えて、ちょっと思いついたことが。

私が個人的に目をかけている子に、ヒカル君という子がいます。
私のやっている木曜クロッキー会に、17歳くらいの頃にヒカル君はやってきました。

たぶん、高校を2年目で中退してすぐの頃だったんじゃないかな。

ヒカル君は、ひとめみて、あぁ、障害者だなって判る風貌です。
初めてデッサン会に来た当時の事を私は覚えています。
まったく自分自身に自信がなく、絵も薄い鉛筆で力なくふにゃふにゃとした幽霊のような絵を描いていたのを覚えています。

あの時から何年経ったんでしょう。
ええと、6年? 7年? ま、あそのくらいの時を経ています。

その後のヒカル君の絵の成長には目を見張るものがあります。
それがよくある障害者であるからという、そういう割引なしの評価です。
ダントツに絵がうまいんです。力強くダイナミックです。
どこに出しても恥ずかしくないです。

木曜クロッキー会で会員展などをするとき、私はヒカル君の絵を案内状のハガキに採用します。
まぁ、そのくらいの応援しかできないのが歯がゆかったんです。

ヒカル君の絵のうまさは、努力結果です。
ずっと描いています。
休憩時間も描いています。
モデルさんだけじゃなく、会員の横顔なんかもさっと描いてます。
なんか命を削るような描き方をします。

気軽に「それだけ描けるんだから絵が好きなんですね」なんて話しかけたら、難しい答えが返ってきます。
「絵は好きでもあり、憎くもあり…」など蘊蓄をたれます。

「そんな命を削るような描き方をしなくても」などというと
「命を削って良い絵が描けるなら、本望です」と返ってきます。

「この絵はいいね」と褒めると
「褒められるような絵を描いているうちはダメだ」と絵を隠してしまいます。

絵のタッチはどんどん変わります。
意識して変えているようです。

札幌の街をよく徘徊してます。ギャラリー巡りです。
最近では人懐こく、その真摯な受け答えが妙な味になって、ギャラリー関係者の中でも有名になってきているようです。

先輩絵描きであるナガオさんが、私に言った事があります。
「みか、そろそろヒカルの個展をしてやる時期じゃないのか?」
その言葉は私の中でずっと引っかかっていました。

個展と言ったってお金がかかるもんです。会場費や案内状や額縁やら。
簡単に言うなよって感じです。(笑)

で、今回のトヨタの話をヒカル君を世に出すきっかけになればと思ったんです。

トヨタでは、月に1回ほどイベントがあります。
その時、ヒカル君にお客さんをモチーフに自由に絵を描かせるんです。
商談している所とか、ヒカル君の好きなアングルで。
ヒカル君の気に入った人を。
お客さんは、モデルになるために構えることはなく、普通に商談していてもらいます。

そういう絵をどんどん描きためて、トヨタの中2階のスペースにヒカル君の常設展とするんです。
絵を描いてもらった人は、知人を連れて再び来店するかもしれません。
絵が欲しい人には売ります。

トヨタではヒカル君に、交通費という名目で少しばかりのお金が支払うことをOKしてもらいました。
ヒカル君がお金を得るのは初めてだと思います。

絵は車の成約のプレゼントにも使っても良いですし。

どんどんアイデアは広がります。

このケースがうまく行けば、札幌の他のトヨタの支店にも展開できます。
ヒカル君にもトヨタにもとっても良い話になる可能性があります。


で、昨日、はじめてトヨタにヒカル君を連れて行ったんです。
店長さんと事務員の女性の絵を描きました。
これは見本です。
玄関先に飾ってもらいます。

「次回イベントにはこの絵を描いた人が来ます」って感じにしてもらいます。

店長さんも事務員さんも、その絵のうまさにすっかり驚いてしまいました。

ヒカル君は自分の絵にものすごく厳しいです。
「こんな絵ではまだまだだ…」
私は言います。
「あのね、もっと自信持って。ヒカル君の絵でいろんな人が喜んでいるんだよ。そういう力があるんだよ」と。


ヒカル君はそんなに体力がありません。
時々、絵を全力で描いて頭からケムリがでているのがわかります。(笑)



でね、思ったんですよ。
こういうふうに事が運んでくると、ヒカル君の障害者っぷりが逆に良い方に向くって事です。
これが同じ20代半ばの健常者の絵の上手い子なら、野心が見え隠れして、どうかすると反感を買いかねない面もあるかもです。

そして見かけと絵のうまさのギャップも良い感じです。
絵は、本当に値引きなしで上手いです。

次の土日にトヨタでイベントがあります。
さぁ、どうなりますやら。


昨日描いた絵、写真に撮ってここに貼り付ければ良かったね。
写真に撮るの忘れたぁ。(笑)
 
 
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